助成対象者の声
当財団が⽀援した研究者の皆様から、メッセージを寄せていただきました。
〜臓器提供意思表⽰率の向上〜
どのようにしたら「ソーシャルマーケティングで移植医療の課題解決ができるのか」について10年間考え続け、それを本格的に探究したいとの思いで申請したのが,吉⽥秀雄記念事業財団の研究助成でした。助成の通知を受け取ったときは喜びもひとしおで,深い感謝の気持ちをもって研究に打ち込む決意を致しました。 ソーシャルマーケティングでは理論に基づく実践による⾏動変容が重要であるため,次世代を担う学⽣たちと社会実装を⾏いつつ,国際調査も⾏い、そこから得られた 知⾒を普遍化し,学術的な貢献ができるよう,真⼼を込めて研究を⾏いました。しかし,社会実装を伴う研究は,多様な⼈々からの理解が必要であり,困難を極め, 苦悶の⽇々でした。そのような時,「⾃信をもって研究に没頭してよい」と背中を押してくださる研究助成は⼼の⽀えであり,そのご恩に報いたいと研究に邁進できました。 この研究をきっかけに,世界中の同領域の研究者とつながり,学術的な深みと拡がりができました。助成への深い感謝とともに,これからも緻密に愚直に研究を続け, 学術の進展とより良い社会の構築に微⼒ながら貢献したいと思います。
第51次研究助成では⼤変お世話になり感謝しています。海外の⼤学での研究費事情は厳しく、その中にあって⼗分な研究助成を頂き、私にとって新しい研究分野を開拓することが出来ました。研究実施に当たり進捗状況管理など事務局の皆様にサポートも頂きました。研究では慈善活動等とリンクさせたオンライン・プラット フォームにおけるマーケット⼿法や⼝コミにおける情報伝搬メカニズムと効果を考察しました。経済実験によると、向社会的活動の情報は⼝コミによりコミュニティ 内に拡散し、プラットフォーム上での協⼒規範醸成に寄与すると分かりました。経済実験では内部妥当性を追求し経済ゲームを⽤いた厳密な設定を⽤いました。 この⼝コミの効果は極めて興味深い結果であり、得られた結果を踏まえ、外部妥当性を追求する次のステップとして、現実のプラットフォームの⼝コミデータの 解析や評価コメントの制度を組み⼊れた新規経済実験などを企画しています。
〜クチコミ情報の正負⽐率と事前のブランド選択⾏動の有無の視点から〜
インターネットにはさまざまなクチコミが投稿されており、私たちの製品選択に少なからぬ影響を及ぼしています。しかしいくら肯定的なクチコミであっても、その数が多すぎると、どこか疑わしく思えてきます。私たちはこうした現象を「疑念効果」と名づけ、その存在をCLT(会場型実験)によって検証しました。
この研究を⾏うことができたのは、吉⽥秀雄記念事業財団から研究助成をいただけたからに他なりません。CLTを⾏うための多額の費⽤をご⽀援いただけなければ、
私たちの研究は仮説レベルで終わっていたことでしょう。「疑念効果」の存在を裏づけることができたのは、財団のご⽀援があったためです。
またこの研究では澁⾕覚先⽣(学習院⼤学)という素晴らしい研究者と共同作業を⾏うことができました。お互い本格的な共同研究は初めてでしたが、
⼤変楽しく活動することができました。私にとっても澁⾕先⽣にとっても、忘れることのできない⼤切な研究です。
本書は、近年、国内外の研究者から注⽬を集めている、ジオタグ(位置情報)付きツイッターデータについて、その取得から処理、空間分析に⾄るまでの⼀連の流れと、地理学、⽇本語学、ネットワーク科学、社会学の研究者らによる最新の研究事例や関連研究の動向を紹介するものです。書籍の出版は初めてで、かつ編著者として、
担当章の執筆に加えて原稿の取りまとめを⾏うことにもなり、いろいろと苦労しましたが、出版助成に採択していただいたことで⾮常に安堵しました。
出版以降は、⽇本ではまだ⼗分に検討されていない、ジオタグ付きツイッターデータにみられるバイアスに関する研究や、データを活⽤したCOVID-19に関する
研究などを進めているところです。また、出版の反響として、他⼤学の学⽣からの相談なども受け、ツイッターデータを利⽤した空間分析の裾野の広がりを実感しています。
このたびは、出版助成に採択していただき、⼤変ありがとうございました。