信頼の源泉:住民と自治体との“心理的近さ”の役割
●地域イベントへの参加によって自治体との心理的近さが増す
Web3が社会やコミュニティにどのような影響を与えるのか、あるいはデジタル技術と信頼について考えるにあたり、本稿ではまずコミュニティとデジタル技術についての考察を紹介したいと思う。
2021年に「デジタルガバメントに関する住民ニーズ調査研究」をオンライン調査として実施した(1)。この調査の目的は、人々が暮らしの中で求める“デジタル”あるいは“デジタルガバメント”のあり方を明らかにすることである。
デジタルガバメントという限定的な文脈ではあるが、行政からの情報発信、行政とのコミュニケーション、地域コミュニティ、暮らしの理想、災害・新型コロナ、マイナンバーカードを使った行政サービスの利用意向などの観点で、質問項目を設計した。調査項目の設計にあたっては、先行研究から“エンゲージメント”と“ 理想の暮らし”の2つの概念を仮説に組み込んだ。エンゲージメントと理想の暮らしが、デジタルガバメントのニーズにどのように影響を与えるのか、という視点からである。
この調査では、エンゲージメントを“自治体との心理的な近さ”と解釈し、「自治体との近さを感じるのはどんなときですか?」という質問をした。「その他」を含む14の回答項目を用意した結果、「地域のイベント(お祭りや、屋外での催し)に参加したとき」「選挙や住民投票のとき」「自治会や町内会活動に参加したとき」「地震や台風などの災害が発生したとき」「コミュニティセンターや公民館での催しに参加したとき」の項目が2割を超えていた[図表1]。
質問項目を作成する際に実施したヒアリング調査でもこの点について尋ねたところ、「普段の暮らしの中で自治体の存在を意識することは少ないが、自分の家の近くや通りがかりの場所で自治体のイベントをやっているのを見ると、自治体との“ 近さ”を感じる」というコメントがあった。質問票を作成したときには、子どもが生まれたとき、介護が必要になったときなど、いわゆるライフイベントに多くチェックが入ることを予想していたが、結果的には地域イベントが40%を超えたのに対し、ライフイベント系の項目はそれぞれ10%程度の回答にとどまったのである。
●“ 心理的近さ”がデジタル行政サービスのニーズにプラスの影響を与える
この調査では、オンラインサービスの利用意向や、行政のデジタル化に関係する質問(12項目(2))に対する回答者の答えに基づき、デジタルガバメントのニーズの高い/低いを得点化した。
「自治体との近さ」を尋ねた質問の回答項目とデジタルガバメントのニーズの相関関係を分析したところ、「地域のイベントに参加したとき」という回答項目との間にプラスの相関が確認できた。地域のイベントに参加したときに自治体との近さを感じる人は、デジタル化のニーズが高くなる傾向があることがわかった。[図表1]の赤色の枠で示した部分だ。
この結果を裏付ける街づくりの取り組みがある。神奈川県藤沢市でパナソニックの主導の下、2014年に街開きをしたFujisawa SST(Fujisawaサスティナブル・スマートタウン)では、デジタル技術の活用による暮らしの質の向上を目指している。いわゆるスマートシティの取り組みだ。街づくりの現場では、各種サービスのマネジメントを行うタウンマネジメント会社が、住民との接点やコミュニケーションづくりに注力している。
スマートシティの事例として広く認識されているFujisawaSSTの取り組みだが、この調査結果を踏まえると、その足元で住民とのリアルなつながりづくりを地道に行っていることは、非常に有効なアプローチだということがわかる。Fujisawa SST以外の事例でも、例えば地域のオンラインコミュニティを盛り上げるために、リアルのイベントを併用することが効果的というコメントをよく聞く。デジタルガバメントにおける住民と行政とのエンゲージメントづくりには、アナログな活動が効いてくるのだ。
安心の源泉: 暮らしの価値観
●暮らしの状況に応じたサービスへのニーズは高い
この調査では、デジタルガバメントの一つのあり方として、世帯構成や個々人の生活の状況、一人ひとりの関心に応じた情報やサービスを提供することを「暮らしの状況に応じたサービス」と位置付けている。そして「あなたの暮らしの状況に応じたサービスがあると良いと思いますか?」という質問をした。
暮らしの状況に応じたサービスとは、例えば、自身の世帯構成や年齢、収入などの状況に応じて利用可能な行政サービスがプッシュ式で案内されることや、自宅近くの新型コロナの発熱外来の案内、さらには災害時など非常事態での最寄りの避難所や避難所へのルート案内などが考えられる。類似のサービスは、オンライン広告の世界でターゲティング広告として行われている。個人の生活の状況に基づいた、よりパーソナライズされた情報やサービスの提供とイメージしていただければと思う。
このようなサービスがあると良いと思うかどうか尋ねた質問に対して、「とても良い」との回答が27 %、「良い」との回答が49%、「どちらでもない」21 %、「良くない」2 %、そして「まったく良くない」という回答が1%という結果だった。回答者の8割弱が「とても良い」「良い」という反応を示したことになる。
暮らしの状況に応じたサービスを提供するためには、利用者一人ひとりの個人情報がサービス提供者(この調査で念頭に置いているのは地方自治体)に提供され、活用に対する許可が与えられていることが必要になる。調査では、暮らしの状況に応じたサービスを受けるために、自身のどのような情報であれば地方自治体が使ってもよいと思うか、についても尋ねた。
回答者の6割以上の方が「年齢」「性別」「住所」にチェックを付けた。次いで「世帯構成」が4割強、「職業」4割弱と続く。チェックを付けた人が少なかった項目は「位置情報」1割弱、「ヘルスデータ(歩行数や心拍数、血圧データ)」1割強、そして「所得」2割弱。情報の種類によって、使ってもいい/使ってほしくないというニーズに違いがあることがわかった。
この結果からは、Web3とこれからのデジタルサービスを考える上で参考になる示唆がある。本稿の最後で改めて触れたい。
●「近隣住民とのつながり」「コミュニティ」「助け合い」が今後のデジタル社会のキーワード
「自治体との近さを感じるとき」に似た質問項目として、「現在お住まいの自治体が提供していると思うもの」についても尋ねた。“自治体との近さ”はエンゲージメントを尋ねる質問として、“お住まいの自治体が提供しているもの”は日常生活の価値観を尋ねる質問として準備した。
「その他」を含む9つの質問項目の中で、「いいまちに住んでいると思える満足感」「信頼できる自治体に住んでいるという安心感」「分かりやすく使い勝手の良い行政サービスがあることによる利便性」という3項目にチェックした人が全体の2割前後。次いで「経済的支援による安心感」「近隣住民とのつながりやコミュニティづくり、助け合いによる充実感」が1割を超えた[図表2]。
「自治体との近さを感じるとき」の質問と同じように、「お住まいの自治体が提供していると思うもの」の回答項目と「暮らしの状況に応じたサービス(パーソナライズサービス)」に対するニーズの相関関係を分析したところ、「いいまちに住んでいると思える満足感」「分かりやすく使い勝手の良い行政サービスがあることによる利便性」「近隣住民とのつながりやコミュニティづくり、助け合いによる充実感」の3つの項目にプラスの相関が認められた(図の赤枠の部分)。
以上の結果を受けて、私たち研究チームが着目したのが「近隣住民とのつながり」「暮らしへの満足度」「コミュニティづくり」「助け合い」といったキーワードである。先ほど紹介した「自治体との近さを感じるとき」の質問でも、「地域のイベント」というキーワードがデジタルガバメントのニーズにプラスに影響していた。
「暮らしの状況に応じたサービス」は、自分や家族の状況・関心に応じてサービスや情報を最適化するものだ。調査を設計している段階では、このようなサービスに対するニーズの高い人は、いわゆる個人主義的な考え方の強い人たちではないか、と漠然と考えていたが、良い意味で期待を裏切り、異なる方向性を示す結果となった。
「コミュニティ」や「人とのつながり」は、今後のデジタルガバメントのあり方を考える上で、特に重要なキーワードになりそうである。
デジタル社会に対する人々の態度
●積極層(4割弱)と消極層(3割弱)が存在
ここからは2022年に実施した別の調査結果を紹介しよう。デジタルガバメントという限定的な文脈を超え、広く“デジタル社会”に対する人々のニーズを深掘りするために実施した「デジタル社会意識調査」である。調査手法は「デジタルガバメントに関する住民ニーズ調査研究」と同じオンライン調査パネルを使い、サンプル抽出やサンプル数も同様の方法で行った(3)。
この調査ではまず、社会のオンライン・デジタル化の良し悪しと関心の有無、また自身がデジタル化についていけているかどうかを尋ねた。これら質問への回答をもとに、回答者のデジター)に分類された。
① デジタル活用に積極的な層(日常生活でデジタルサービスを積極的に活用している人々)
② デジタル活用にポジティブな意見を持っているが、進展の速さについていけていないと思っている層(情報技術の進展によるエンパワーメントを受けていない人々)
③ デジタル活用には否定的な層(どのような理由があっても、日常生活でデジタルサービスは使いたくない人々)
④ 中立層(①~③のいずれにも属さない人々、質問に対して「どちらでもない」といった中立的な回答が多かった人々)
各層の内訳は[図表3]を見てほしい。①は「デジタル積極層」で38%、②は13%、「置き去り層」と名付けた。③は「反デジタル層」で15%、④は「中立層」で34%だった。②の「置き去り層」と③の「反デジタル層」を消極層と呼んでいる。ただし、「置き去り層」の人々は、デジタル化全般にはポジティブな考えを持っているが、その進展の速さに「ついていけない」と思っている人たち、一方で「反デジタル層」の人々は、日常生活でデジタルサービスを使いたいと思っていない人たち、という点が相違点である。
●世代間で意識に違いがある
続いて、各層の性年代別の内訳を見てみると、世代間に明確なギャップがあることがわかった[図表4]。この調査の対象者は、日本の人口構成比に基づく割当法により抽出している。
[図表4]を見て一番印象的なのは、「デジタル積極層」の割合が男女ともに50代を底辺としてU 字カーブを描いていることである。また、「置き去り層」において最も多い割合である約2割を占めたのは、男性80代、女性40代、女性60代、女性80代だった。一方、「反デジタル層」において最も多い割合である2割を超えたのは、女性50代という結果となった。
男女ともに40代、50代の方の「デジタル積極層」の割合が、他の年代と比較して少ないことに注目している。これは、一般によくいわれている高齢者=デジタルデバイドの図式には、必ずしも当てはまらない結果であったと考える。
このような世代間ギャップがなぜ生じているのかを考察するには詳細な調査が必要だが、今回の調査から得られたヒントもある。どのような因子(質問項目)に基づいて4つのクラスターが分類されたのかを分析したところ、年齢のほかに居住都道府県、職業、世帯年収といった社会属性、生活への満足度、行政オンラインサービスの利用意向・認知度が影響を与えていることがわかった。
生活の満足度は、先ほど紹介したニーズ調査でもキーワードとして挙がっていた。社会属性がデジタル活用に影響を与えることは、日本以外の国を対象とした先行研究でも明らかとなっている。私たちの調査でも、「デジタル積極層」の年収の水準は高いという結果が出ている。「デジタル積極層」の割合が最も高い10代では、回答者本人の収入というよりも世帯収入の高さが印象的だった。この観点について紙幅の関係で本稿では詳細に分析できないが、経済格差や貧困問題につながると考えている。デジタルサービスを使うためにはコストがかかる。一般的には機器代と通信代だが、スマートフォンの値段は年々値上がりしており、今やノートパソコン以上の値段となっているものもある。デジタルサービスを社会の前提とするのか、それとも機械を買える人たちだけの世界とするのか、社会全体で議論が必要な点だと思う。
さて世代間ギャップの考察に戻ると、研究メンバーの周辺の人々に調査結果を共有する中で、面白いコメントがあった。「デジタル積極層」の割合が低く、かつ「置き去り層」「反デジタル層」の割合が高い40代、50代の人々については、仕事などでパソコンに触れる機会はあるものの、自分たちの意思でその状況を選択していない。そのため、日常生活全般のデジタル化には消極的、あるいは「ついていけない」と考えている人たちではないか、という仮説だ。納得感のある仮説なので、次の調査の際に質問に盛り込みたいと考えている。皆さんは、どう思われるだろうか。
“周りの人”と“サポート”の重要性
●デジタルサービスは単体で存在しているのではない
「デジタル社会意識調査」では、日常生活でなぜオンラインサービスを使うのか、について尋ねた。この質問では、民間のオンラインサービスと行政のオンラインサービスを分けており、回答項目は同じものを使用した。
「民間のオンラインサービスをなぜ使うのか」という質問に対する回答には、各層の特徴がはっきりと表れた。ここでの民間のオンラインサービスとは、ニュースや地図サービス、LINEなどのメッセージアプリ、オンラインショッピング、キャッシュレス、ゲームや音楽、動画配信などのエンターテインメント、SNS、オンラインバンキングなどである。
「デジタル積極層」の割合が最も高くなった回答項目は、「新しいサービスを使うのが好きだから」だった(69.7%)。「置き去り層」の割合が最も高くなった回答項目は「周囲の人が使っているから」(15.8%)だった。「反デジタル層」の割合が最も高くなった回答項目は「デジタルサービスはほとんど使わない」(64.6%)で、そのため「反デジタル層」となっているわけだが、次いで「周囲の人が使っているから」と「ブランドイメージやデザインが良いから」(11.3%)となった。各層の割合が最も高くなった回答項目とは、全部で15の回答項目(4)の中で、他の項目と比較したときに当該層の割合が最も高くなったことを指している。
次に同じ回答項目を使って、行政のオンラインサービスを使う際に何を重視するのか尋ねたところ、民間オンラインサービスの利用理由とは異なる回答の傾向が見られた。「デジタル積極層」の割合が(他の回答項目に比べて)最も高くなった回答項目は「新しいサービスを使うのが好きなので使いたい」(66.0%)で変わらなかったが、「置き去り層」の割合が(他の回答項目に比べて)最も高くなった回答項目は「困ったときに丁寧にサポートしてもらえるなら使いたい」(19.0%)だった。「反デジタル層」の割合が(他の回答項目に比べて)最も高くなった回答項目は、民間オンラインサービスと同じく「オンラインの行政サービスは使いたくない」だったが、次いで「困ったときに丁寧にサポートしてもらえるなら使いたい」(11.3%)となった。 この結果で注目しているのは、“周囲の人”と“サポート体制”だ。「置き去り層」と「反デジタル層」の人々にとって、デジタルサービスは単体で存在するのではなく、彼らの近しい人たちの存在がサービス利用の鍵になることがわかる。困ったときのサポートも、身近な人から受けたいと考えているのかもしれない。もちろん、行政に対する充実したサポート体制に対するニーズも高いことがうかがえる。
●理想の暮らしのキーワードは「祭り」「ワークライフバランス」「つながり」「家族」
最後に紹介する調査結果は「理想の暮らし」についてだ。17の回答項目(5)を用意して、理想の暮らしについて尋ねた。「 デジタル積極層」が最も大きな割合を占めた回答項目は「祭りやイベントに日々触れる暮らし」(49.6%)、次いで「ワークライフバランスの取れた暮らし」(48.0%)だった。「置き去り層」が最も大きな割合を占めた回答項目は「地域の人々とつながる暮らし」(16.1%)、次いで「医療・介護サービスへのアクセスがしっかりしている暮らし」(15.9%)だった。
「反デジタル層」の割合が最も高くなった回答項目は、「家族みんなが幸せな暮らし」(13.3%)となった。
「理想の暮らし」を尋ねた質問項目からも、各層の特徴が見てとれる。「祭り」や「イベント」というキーワードは、冒頭で紹介したニーズ調査で“自治体と住民の心理的近さ”として挙げたキーワードと一致する。「デジタル積極層」の人々の理想の暮らしには、リアルイベントが重要な役割を占めていることがわかる。この層の人々は“ワークライフバランス”も重視している。
一方で「置き去り層」「反デジタル層」の回答からは、「地域の人々とのつながり」や「家族の幸せ」といったキーワードが浮かび上がる。こういったキーワードも、ニーズ調査で注目された“ 近隣住民とのつながり”“コミュニティ”“ 助け合い”との関連が強いワードだと捉えることができる。
Web3社会への示唆
行政のデジタルサービスへのニーズ、そしてデジタル社会全般に対する人々の考え方の分析結果から、Web3社会のこれからを考えるにあたり、得られる示唆はどのようなものだろうか。
Web3についてデジタル庁の報告書(6)では、「ブロックチェーンなどの技術を用いて非中央集権的に個と個をつないでいくところに理想の姿を求める考え方がある。メタバースやマルチバースと称される仮想空間と現実世界との交錯を通じた空間拡張があいまって、新たな世界観の創出が期待されている」と記述されている(「Web3.0研究会報告書」p.8)。
Web3をIDとアルゴリズム、データの分散管理と捉えると、Web3の世界観はこれまでよりも“ 個”の活動を活発化させて、IDやデータ管理の責任をユーザー側で負う社会になる。これは、「置き去り層」や「反デジタル層」が求めている“サポート体制”の拡充とは反対の方向性である。ただし、おそらく「デジタル積極層」の人々にとっては、歓迎すべき世界観かもしれない。IDやデータ管理の自己責任をどこまで取れるかどうかについて、本稿で紹介した調査群では直接的には尋ねていないが、デジタル社会に対する意識が何らかの影響を与えるだろうと考えられる。
一方で暮らしの状況に応じたパーソナライズサービスの実現にあたっては、IDとデータを個々人で管理することが重要となる。どの情報をどの事業者に提供するのか、相手は必ずしも組織とは限らないが、私たち一人ひとりが決定する必要がある。p.11で紹介した「どの個人情報であれば使っても良いか?」という質問に、自分なりの答えを持っておかなくてはならない。パーソナライズサービスのニーズは高いので、このようなサービスを拡充する過程で、自己責任についてのリテラシーを上げていくことが重要だと考えている。
パーソナライズサービスのニーズにプラスの影響を与えていた“ 近隣住民とのつながり”“コミュニティ”“助け合い”は、Web3の社会で強くなる可能性がある。これまで地域の町内会といった第三者的な組織を介して構築されていたコミュニティは、個々人が直接つながることで新しい形となるかもしれない。似た現象は既にSNSを介して行われているが、つながり方が個人のより詳細な情報に基づき、活動履歴などが改ざんできない形で記録されることになる。
ただ、こうした新しい世界を「置き去り層」や「反デジタル層」の人々が何の疑問もなく、充実したサポートなしに受け入れるのは難しいとも考えられる。まずは、“ 理想の暮らし”として多くの方が挙げた“ 祭りやイベント” “ 地域の人々とのつながり”や“ 家族の幸せ”が、Web3の世界観でどのように実現されるのか、変わっていくのかを、丁寧に説明していく必要があると思う。
どんなにデジタル技術が発展しても、デジタル社会と人々の関係性を考える上で、アナログ活動の大切さは変わらないだろう。“デジタル社会についていけない人”を安易に増やさないこと、「デジタル積極層」とその他の層が交流し、教え合う文化や環境をいかに作っていけるかが、今後Web3の世界観が社会に浸透するために重要ではないだろうか。
〈注釈〉
(1) (株)サイバーエージェント、国際大学GLOCOMの共同研究「デジタルガバメントに関する住民ニーズ調査研究」。全国15~89歳の4,129人を対象としたオンラインアンケート調査( 2021年2月実施)。デジガバニーズの高低を12の質問から抽出。デジガバニーズと「自治体との近さ」「暮らしの理想」に関する質問項目の因果関係を明らかにするため、線形回帰モデルを用いた統計的因果推論を実施。詳細は国際大学GLOCOM ホームページ(https://www.glocom.ac.jp/activities/project/6864)を参照のこと。
(2) オンライン市議さんに相談サービスの利用意向について、自治体から受け取りたい情報の形態について、暮らしの状況に応じたサービスの利用意向について、自治体ホームページの分かりやすさについて、自治体ホームページの分かりやすい箇所について、自治体ホームページの分かりにくい箇所について、自治体ホームページや情報誌で見たことのある情報について、SNSで行いたい行政サービスの種類について、LINEを起点としたサービス提供について、防災防犯のオンラインサービスへのニーズについて、新型コロナ対策のオンラインサービスへのニーズについて、マイナンバーカードを使った行政サービスへのニーズについて―の12の質問項目を使用。
(3) (株)サイバーエージェント、(株)セールスフォース・ジャパン、国際大学GLOCOMの共同研究「デジタル社会意識調査」。全国15~89歳の4,128人を対象としたオンラインアンケート調査( 2022年6月実施)。デジタル社会に対する⼈々の考え⽅やイメージ、またどのような⽣活の価値観がデジタル技術でサポートされてほしいかというニーズの把握を⽬的として、さまざまな統計分析および機械学習を⽤いて回答傾向を分析。詳細は国際大学GLOCOMホームページ(https://www.glocom.ac.jp/activities/project/8317)を参照のこと。
(4) 便利だから、目的達成のために必要だから、生活の質が上がるから、サービスが使いやすいから、他の人と交流したいから、周囲の人が使っているから、楽しいから、お得だから、個人情報保護など安全性に信頼が置けるから、困ったときに丁寧にサポートしてもらえるから、よりサービスが充実していくと期待しているから、新しいサービスを使うのが好きだから、ブランドイメージやデザインが良いから、デジタルサービスはほとんど使わない、その他――の15項目、複数回答可。民間オンラインサービスの利用理由と行政オンラインサービスの重視項目を尋ねる質問で、同じ回答項目を使用している。
(5) 地域の人々とつながる暮らし、市政・区政・町政・村政に自ら参加する暮らし、祭りやイベントに日々触れる暮らし、経済的支援による安心感のある暮らし、分かりやすく使い勝手の良い行政サービスのある暮らし、ワークライフバランスの取れた暮らし、防災・減災対応が十分になされている暮らし、医療・介護サービスへのアクセスがしっかりしている暮らし、日ごろ運動がしやすい環境、快適な住環境、犯罪から守られた安心できる毎日、プライバシーが守られた暮らし、町の歴史や文化・自然に囲まれた暮らし、自分の住んでいる地域に愛着がある暮らし、信頼できる自治体に住んでいるという安心感のある暮らし、家族みんなが幸せな暮らし、その他――の17項目、複数回答可。
(6) 2022年12月27日に公開された「Web3.0研究会報告書」。https://www.digital.go.jp/councils/web3/#report からダウンロード可能。