新時代に向けた新しい学び~共に学ぶ、研究者的に学ぶ~

2024年12月26日 11:00 Vol.90
   
高橋 良子
立教大学理学部教育研究コーディネーター
Ryoko Takahashi
博士(理学)。専門は分子細胞生物学。大学院博士課程在学中にサイエンスコミュニケーションと出会い、国立科学博物館の講座を修了(同館認定サイエンスコミュニケーター)。国立国際医療研究センターでの研究員を経て、サイエンスコミュニケーションを本格的に行うべく株式会社リバネスに入社。実験教室や企業研修、研究者支援などを行う。その後渡米し3年半のニューヨーク生活後、帰国し保育系企業に入社。2021年より現職。

私が現在所属している立教大学理学部は、数学科、物理学科、化学科、生命理学科の4学科からなっており、「科学の専門性を持った教養人の育成」を目指している。そして、理学部におけるアウトリーチ活動や地域/社会連携、サイエンスコミュニケーション教育を担っている組織が私の所属する共通教育推進室(SCOLA: Science Communication Office for Liberal Arts)であり(1)、私は主に地域/社会連携を担当している。

今回私は、「不均一な集団で共に学ぶ場の創造」と「Society 5.0に向け、生涯学び続ける」の2つについて書きたいと思う。

前半は立教大学で実施したプロジェクトを、後半は私のこれまでのキャリアを紹介して話を進めることにする。

 
 
 
 

不均一な集団で共に学ぶ場の創造

1. 異年齢の「新しい学びの場」作り

大学で行われる地域/社会連携は、研究アウトリーチや広報的な意味合いが強いことが多い。しかしその事業が大学生にとっての「新しい学びの場」として活用できるかどうかを、私は常に意識するようにしている。そこでまずは、地域/社会連携事業の一つとして、新しい学びを展開した事例を紹介したいと思う。

立教大学と豊島区とは2005年に教育連携を結んでおり(2)、全学でさまざまな教育連携事業をこれまでに実施してきている。理学部でも、区立小学校や中学校と連携して、理科教員向け研修会や子ども向け科学イベントを実施してきた。

2022年には、区立中学校、サンシャイン水族館と立教大学理学部の三者による博学連携として、SDGsに関する探究授業を実施した(3)。授業はおよそ5カ月にわたる全10時間で実施した[図表1]。第1時のサンシャイン水族館からの特別授業では、同館の「サンゴプロジェクト」が紹介され、海の課題を自分事として捉えアクションを起こす必要性が共有された。続く第2時からのグループワークでは、「サンゴ礁に迫る危機」を起点に、つながりのあるすべてのSDGs課題からグループごとにテーマを選んで調べ、さらに、その社会課題を下級生が学ぶためのワークシートを作成して、最後は成果発表を行った。

この中学生のグループワークに参加希望する大学生を全学部学生に呼びかけたところ、8名の大学生が参加することとなった。内訳は、文系の学部生が2名、理系の学部生が4名、理系大学院生が2名であった。5-6名からなる中学生の固定グループに大学生が1-2名ずつ入るようにした。「新しい学びの場」という観点において特筆すべき点は、大学生はサポーターとしてグループワークを外から見守るのではなく、なるべくグループの中に入って、中学生と大学生との異年齢グループワークを実施することを目標としたことである。“答えを知っている大人”や“グループワークをうまく回してくれる大人”ではなく、より良いワークシートを作成するという同じ目標のチームの一員として、中学生と大学生が同じ方向を向き進めてほしいと大学生に意識づけを行った。

異年齢グループワークのねらいは、中学生にとっては大学生による異なる視点や思考法に触れて刺激を得ること、大学生にとっては異年齢でのグループワークを試行錯誤することでSDGsの理解とグループワーク自体への理解を深めることであり、異年齢だからこそ生まれる相乗効果を期待して実施した。

   

2. 異なる学びが同時に起こる場所

毎回の授業後には、中学校の教員と大学スタッフと参加大学生とで振り返りの時間をもった。大学生が自身のグループには前回までにどんな課題があると感じていて、それに対しどのような行動を起こしたのか、そしてその結果中学生がどのような反応をしたのか、さらなる課題点などを順番に共有し、教員や大学生からコメントをしてもらった。水族館の方に振り返りに参加いただくこともあった[写真1]

さて、本プロジェクトをタキソノミー・テーブルを用いて分析してみたものが次の表である[図表2]。タキソノミー・テーブルとは、ブルームの学習目標分類学(タキソノミー)をAndersonとKrathwohlにより2001年に改訂し提案されたものである。学習や授業を分析することができる(4)。知識は4つの次元に分類される。そしてそれらの知識を、どのように学ぶかという認知過程として6つに分類することで、その学びがどのようなものなのかをより明確にすることができる。日本でも一部の教育機関で使用しており、今回の表中の日本語訳は中西により作成されたものである(5)。表の右側にいくほど高度な学びであるといえるが、この表は学習デザインを分析す
るためのものであって、その良し悪しについて評価するものではない。

   
[写真1]授業後の振り返り
中学校教員、水族館担当者、大学スタッフと大学生とでグループワークを学ぶ
   

[図表2]をみると、プロジェクト全体としてはAからDまでの4段階全ての知識について理解する段階から、応用・分析・評価までと広がりがみられた。学習指導要領でうたわれる「主体的・対話的で深い学び」は表の右側部分にあたり、本プロジェクトにおいて実施できていたと考えられる。

しかし内容を考え分類すると、中学生は①②③、大学生は③④⑤の学びが主として行われていた。中学生は、ワークシートを作成する中で、
・ SDGsに関する新しい知識を得る(①②_2. 理解する)
・ ワークシートにまとめる(①②_3. 応用する)
・ 小学校高学年の子ども達がどの程度知っているかを考える(②_4. 分析する)
・ 理解しやすいようにクイズ形式にしたり絵や写真を多く使ったりなどの工夫をする ③_3. 応用する)
以上のような学びがあったと考えられた。

さらに大学生がグループにいることにより、
・ 対象となる小学生が理解しやすいような論理的に構成されたストーリーの組み立て方とはどのようなものかという考え方を知る(③_2. 理解する)
・ 論理的構成をワークシートに応用して作成(③_3. 応用する)
このような学びを得たグループもあった。

一方大学生は、
・ 対象に合わせたワークシートを作るアイデアを出す(③_3. 応用する)
・ グループワークを円滑に進めるためのスキルを学ぶ(④_2. 理解する)
・ チームメンバーへの声かけの方法を模索したり話題や小道具を準備したりする(④_3. 応用する)
・ 授業後の振り返りの時間にその工夫を共有してフィードバックをもらう(④_4. 分析する、 5. 評価する)

以上のような学びがあった。このような大学生の学びは、大学で通常行われる大学生だけのグループワークよりも、グループワークの進め方自体について注目し、考え学ぶことができていたようだった。さらに、
・ メタ視点でのプロジェクトの概要を理解する(⑤_2. 理解する)
・ 三者のねらいがどの程度達成されているのかを分析する(⑤_4. 分析する)
・ どのようにしたらより達成に近づくのかといったことを考える(⑤_4. 分析する)

以上のようなことを考えながらプログラムに参加できていた学生もいた。三者のそれぞれのねらいとは具体的に、中学校は探究学習の手法開発、大学はより良い新しい学びの場を開発し大学生への提供と地域社会貢献の実績とすること、水族館はCSRや広報といったものがある。大学生はプログラムが進行していく中で、三者が協働して進められているかどうかを分析したり、中学生だけでなく自分達にとっても学びの場であることを認識したりすることで、本プロジェクトに積極的に取り組むことができていたように思う。

以上のことから、中学生は[図表2]のAとBの行に学びが集中しているのに対し、大学生はCとDの行に集中しており、同じグループワークで学んでいても、中学生と大学生とは異なる学びを得ていたことが示された。

3. 先輩の背中で伝えられることもある

そのほかにオプションの企画として、大学生だけのチームを作って中学生と同様にワークシート作成に取り組むことを提案したところ、8名中3名(理学部2名と文学部1名)が参加することになった。テーマ決めからワークシート作成までチームで意見を出し合い、SDGs自体の学びを主体的に進めることができていた。[図表2]のタキソノミー・テーブルでは、①②③に分類され、中学生と同様の学びがみられた。さらに、自身の得意なことをチームで生かすにはどうすべきかという役割の認識や、グループワークを円滑に進めるために情報共有が必要だがどのようにすべきかなど(④_3. 応用する)、グループワークの進め方(④)の学びもみられた。

発表会では、大学生チームとして最後に発表を行った[写真2]。その時は作成したワークシートを紹介するだけでなく、ワークシートを作る実際の過程やグループワークでの役割分担、ワークシートのねらいや工夫、込めた想いなども紹介した[図表3]

メンバーそれぞれが得意なこと(リサーチ力、論理的思考力、デザイン力、アイデア力、調整力など)をグループワークで発揮するやり方、枠にはめない斬新なアイデアの出し方やほかの意見を大事にする方法など、大学生チームの様子を見せることで、グループワークのコツなどの知識情報を発表に忍ばせて中学生に伝えることができたのではないかと思われる。

   
[写真2] 大学生チーム(立教ラッコ隊)が発表している様子ワークシートのテーマは「ラッコの突撃取材!!」
   
[図表3] 大学生による発表で紹介されたワークシート

4. 不均一なメンバーで共に学ぶ

大学生への事後アンケートを一部紹介する。

中学生とのグループワークでどのような学びがあったかを尋ねたところ、
・ 同じ中学3年生でもすごく大人な子もいればそうでない子もいて、それぞれに対しての関わり方、グループとしての関わり方を考えることが学びだった。
・ 伝えることの難しさ(を学んだ)。しかし、まず質問から入ったり、最初に相手を喋らせたりするとそのあとの会話がスムーズになったり、相手から聞きにきたりするようになってうれしかった。

以上のような回答があり、[図表2]のグループワークの進め方(④)について、学びの設計段階だけでなく事後アンケートにも、理解・応用・分析・評価まで進められたことがわかった。そして中学生だからというよりも、チームメンバーに合わせた話し合いの仕方を試行錯誤し、学ぶことができたとわかった。

以上が、区立中学校、サンシャイン水族館と立教大学理学部の三者の博学連携プロジェクトによる「新しい学びの場」である。

このプロジェクトで共に学んだのは中学生と大学生であったが、ほかにも小学生と大学生や、大学生と立教セカンドステージ大学の学生(50才以上)といった組み合わせのイベントを実施し、新しい学びの場を創出している。さらに、私の所属するSCOLAでは、文系・理系を超えて学びあうプログラム「SCOLA SIP(Science Communication Office for Liberal Arts, Students Interactive Program)」の運営もしている。

グループワークやディスカッション、体験学習などのいわゆるアクティブラーニングを実施する上で、年齢の違いや専門性の違い(文系と理系のような)のある集団が共に学びあうことは、均一化した集団よりも深い学びを得られることがあるのではないかと考えている。自身の属性では常識と思ってしまうことを疑ったり明文化したり、伝えるための工夫をしたり、相手との違いを理解したりしようとすることで、より本質的なところまで理解できるようになるからである。

大学は高等教育機関であり、多様な教育研究が求められている。より良い「共に学ぶ場」を作り大学生に提供しようと、その可能性を探して日々模索しているところである。

 
 
 
 

Society 5.0に向け、生涯学び続ける

1. 大学での学びを考える

これまで大学生に向けた「新しい学びの場を作る」「共に学ぶ場を作る」と何度も書いてきたが、ここからは学びについて少し広く捉えて考えてみたい。

大学とそれ以降の学びについて、大学1〜2年生に向けて話すことがある。大学を卒業したら(あるいは就職先が決まったら)学ぶ時期が終わるわけではない。Society 5.0時代(6)に向けた、変化の大きい今を生きていく我々は、生涯にわたって学び続けることが必要になってきている。それは転職や再就職、社内での部署移動で新しい業務に就くといったことに限らず、仕事をする上でキャリアを築いていくために必要となるからだ。学生から「学び続けるためのモチベーションの維持はどうしたら良いのか?」といった質問を受けることがある。大学以降、特に社会人になってからは、知りたい、理解したいと思ったことについて学んでいくので、自分自身が納得したり目標に到達したりしたら、ほかのテーマに移っていくことが多いのではないだろうか。興味や必要性に駆られて自分で選択したことを学ぶ場合、モチベーションが落ちる心配はそんなにいらないように感じている。大学受験をくぐり抜けたばかりの大学生にとっては“やらされる勉強”が馴染み深いかもしれないが、自分自身で選択した学びは大きく違うのではないだろうかと、大学生に答えている。質問をした大学生にとって学びとは、やらなければならない、面倒なものと感じているのかもしれないが、そもそも「学び」は楽しいことではなかっただろうか。幼少期は目新しいことを次々と知りたいという欲求があったはずである。しかしそれがいつの間にか、学びは「勉強」となり、頑張らなければならないものになるらしい。驚いたことに、保育園の卒園式で「小学校で頑張りたいこと」を発表する園児の答えが、「たくさんお友達を作りたいです」と同じくらいの割合で「勇気を出して勉強を頑張りたいです」と答えていたのだ。勉強することが楽しみになるように、大人が伝えられたらと感じた一件であった。

さて、もうひとつ大学1〜2年生に伝えていることがある。それは、大学で得られるさまざまな機会は、少しでも興味があったら積極的にやってみるべきだということだ。大学には専門科目の授業以外にもさまざまな学びの機会が提供されていることが多い。他学部の授業の履修や、研究者による講演会、多様な組織と連携した教育プログラム、研修会、学内のイベント運営、ボランティアなど多岐にわたる。これからキャリアを重ねていく大学生にとって、大学のリソースを活用し経験を積み、自身の選択肢の幅を広げることはとても重要だ。知っていることからしか選択できないし、知っていることからしかアイデアは生まれてこない。だからこそ大学時代は、とにかく知
っている範囲を増やしていくことを勧めている。

さらに、Society 5.0時代に向けてどの学部学生にも勧めたいのは、科学ニュースをみたり読んだりすることである。科学分野全般に詳しくなる必要は全くないが、科学ニュースを自分に関係ないものと思わずに、アンテナをはれるようになってほしいと思っている。科学技術は社会と切り離されたどこか遠い所にあるわけではない。例えば新しい科学技術を社会に実装する場合に、それにはどんな可能性があるのか、将来的
に問題が起こらないだろうかなどと考えるのは、科学者だけでなく社会の全ての人々であるべきだ。これからの大学教育では、全ての学部を対象に、科学と社会について考え対話するサイエンスコミュニケーションの授業を実施する必要があると感じている。

2. 学びがキャリアを作る

「生涯にわたって学び続ける」と書いたが、私がそのように認識したのはリバネスに勤めていた頃だと思う。現在のリバネスは、世界中の研究者の知識を集め、世界中の人がその知識にアクセスし活用することで、新しい知識を生み出す「知識製造業」を営んでいると書かれてある(7)。私が勤めていた頃(2010年代中頃まで)はまだその言葉は生まれておらず、科学教育事業や研究者支援事業を中心としながら、大学や研究機関の研究成果をもとにした起業支援等を始めた頃だったかと思う。同僚達は修士号や博士号を持つ元研究者で、自身の専門分野とは異なるさまざまなプロジェクトに関わっていたが、必要なことを自分で学んで次々と仕事に生かしていた。それまでの私は、学んだことがそのまま仕事に直結するのは研究職くらいのもので、そのほかの職種では大学等で学んできたことを使って仕事をしていくのだと勝手に思い込んでいたのだと思う。しかし同僚達の姿を見ることで、私自身も必要だと思ったことを学び仕事で生かし、さらに興味のあることを学んで最終的には一つのプロジェクトに発展させるといったマインドセットができたのだ。興味に合わせて学んだことが仕事に生かせる可能性があると知ることができたのは、私のその後のキャリアに大きな影響をもたらしたと思っている。キャリアとは仕事上の経歴のことだけではなく、本来は人生そのものを指す言葉である。自身の出産や育児を通じて、私は初めて乳幼児心理学や発達心理学、赤ちゃん学と出会い、産休中に放送大学で関連科目を学ぶことにした。大きなお腹で単位認定試験を受けに行ったのは懐かしい思い出であるが、試験の教室にはほかにもそのような方がいらした気がする。その後家族の仕事の都合でアメリカに数年暮らしたときも、モンテッソーリ、シュタイナー、レッジョ・エミリアといった教育法の幼児へのアプローチを見たり体験したり、アメリカと日本の公立小学校の教育システムを比較したりして少しずつ学んでいた。そして日本に帰国後は、興味と学びを仕事に生かすべく保育事業の企業に入社し、保育者への研修事業に関わり保育者の学びの支援をしていた。興味のあることを学び、その学びが仕事になったり仕事を作ったりする経験を経て、私には、このようなキャリアの築き方が合っているようだと考えるようになった。その時々に興味のあることを、生涯にわたって学び続
けていければと現在は考えている。

3. 研究者的な学び方

さて、1. 大学での学びを考える、2. 学びがキャリアを作ると書いてきたが、最後に研究者的な学び方について考えたいと思う。

科学系の研究をする際には一般的に、研究すべき課題を見つけ、論文を読むなどしてリサーチを行い、仮説をたて、実験して検証・分析し、結論づけるという道程になる。研究者の卵たちは大学で研究室に所属してから(多くは大学4年生から)、この研究のサイクルでひたすら訓練される。研究分野によるかもしれないが、基本的には一人でじっくり考えたり気づいたりする時間と指導教員や先輩とのディスカッションをする時間との両方が必要で、どちらか片方では研究はうまく進められない。また、学会で研究発表をして研究室以外の研究者と知り合う機会もあり、研究者同士が雑談することで新しいアイデアが生まれ、新たな共同研究をすることにつながることもある。修士号や博士号を取得しているというのは、このような研究者的な学び方(研究の進め方)の訓練を受けたという証しといえるのではないだろうか。

このような研究者的な学び方は、さまざまなプロジェクトの進め方にも応用ができるだろう。例えば、企業や社会の課題を見つけ、周辺知識をリサーチして一人でじっくり学び、チームの仲間に共有してディスカッションし、それから実践し検証・分析して、次のアクションにつなげるといったことである。さらに営業先の担当者との話し合いで、新たなプロジェクトを立ち上げることにつながるかもしれない。前出したリバネスは当時、社員のほとんどが理系の修士や博士を取得している人材で構成されていたのだが、まさに研究者的な学び方を仕事に生かしていたのだと思う。

今後は、修士や博士は自身の専門分野の知識や業績だけでなく、研究者的な学び方やプロジェクトの進め方の経験値の高さもアピールできれば良いのではないだろうか。また一方で、このような研究者的な学び方を、科学研究の場だけでなくほかの教育の場にも応用できると良いかもしれない。

来るSociety 5.0の時代。新時代により適した学びを目標に研究し、新しい社会を支え新たな価値を生み出すことのできる人材をより多く大学から輩出することを目指す。幅広い年齢の人々がワクワクしながら学び続け、社会も個人もwell-beingである、そんな未来に貢献できるように、私自身も学び続けるのだ。

立教大学 理学部 共通教育推進室(SCOLA)とは

立教大学理学部は、教育目標「科学の専門性を持った教養人の育成」に基づき、数学、物理学、化学、生命理学を専攻とする学生が専門教育以外のことを学ぶ機会の提供にも力を入れている。各学科の枠に収まりきらない知識や、国際感覚、科学と社会の関係性を考えるサイエンスコミュニケーションなどの「学部共通科目」を運営するために2005年に発足した組織が、共通教育推進室(SCOLA)である。発足当初からサイエンスコミュニケーションに焦点を置いた科目を設置しており、理学部の学生向け授業としての開講は日本初の試みだった。

現在、図の3つの柱をたてている。「アウトリーチ・情報発信」では研究に関する情報や理学部の魅力をイベントやSNSで発信し、「地域/社会連携」では地域の学校やコミュニティと連携して社会貢献を目指している。さらに「サイエンスコミュニケーション教育」活動を行っており、この3つは相互に関連し合っている。

2022年度には、理学部だけでなく他学部の学生も対象としたサイエンスコミュニケーション実践教育プログラム「SCOLA SIP(Science Communication Office for Liberal Arts, Students Interactive Program)」を設立。学問の営みとして科学を広く捉え、社会への実践を目的に、1年間のプログラムとして多様な専門を持つ学部生や院生たちと活動している*。

これらの活動を通じ、科学の専門性をもつ教養人を輩出し、より良い社会づくりに貢献していく。

*立教大学 理学部. “サイエンスコミュニケーション教育(実践プログラム:SCOLA SIP)”. 立教大学理学部共通教育推進室ホームページ.https://science.rikkyo.ac.jp/scola/subjects.html

   

〈参考文献〉
(1) 立教大学理学部.“ 共通教育推進室/ SCOLA”. 立教大学理学部ホームページ.https://science.rikkyo.ac.jp/scola/index.htm(l 参照:2024年10月30日)
(2) 立教大学. “豊島区との教育連携”. 立教大学ホームページ.  https://www3.rikkyo.ac.jp/research/initiative/cooperation/community/toshima_ward/ (参照:2024年10月30日)
(3) 吉田勝彦, 山本昭, 高橋良子, 古澤輝由. “中学校と地域の科学系博物館・大学による連携学習SDGs学習プログラムの開発 “. 第73回日本理科教育学会全国大会 高知大会 2023年9月23日
(4) Anderson, L. W., & Krathwohl, D. R. “A Taxonomy for Learning,Teaching and Assessing: A Revision of Bloom’s Taxonomy ofEducational Objectives".2001. Longman.
(5) 中西千春. “ブルームの改訂版タキソノミー・テーブルを用いた 授業改善手法についての考察”. 国立音楽大学研究紀要. 2021. 55. 293-297.
(6) 内閣府. “Society 5.0 “. 内閣府ホームページ.https://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/(参照:2024年10月30日)
(7) 株式会社リバネス. “ 代表メッセージ”. 株式会社リバネスホームページ https://lne.st/about/message/(参照:2024年10月30日)

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